交際費と会議費の違い|「1人1万円以下」と会議費は別のルール・保存書類まで税理士が解説

税理士 奥山博史

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号)が監修しています。
奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋/池袋駅徒歩8分)

「この飲食代は交際費ですか、会議費ですか」という質問は、決算のたびに出てきます。交際費等は原則として損金に算入されないため、どちらに区分するかで税額が変わるからです。

そしてこの論点には、実務でかなり広まっている誤解があります。「1人1万円以下なら会議費でよい」という説明です。これは正確ではありません。1人当たり1万円以下の飲食費を交際費等から除く規定と、会議費を交際費等から除く規定は、租税特別措置法施行令の中の別々の号に置かれた、別のルールです。

ここでは、両者がどう違うのか、どちらから判定すべきか、そして除外を受けるために何を残しておく必要があるのかを、条文と国税庁の資料にもとづいて整理します。

まず前提:交際費等は原則として損金に算入されない

租税特別措置法第61条の4第1項は、法人が平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額は、原則として所得の金額の計算上、損金の額に算入しないと定めています。

そのうえで、法人の規模に応じて次の措置が設けられています。

期末の資本金の額または出資金の額 損金不算入額の計算
1億円以下(一定の法人を除く) 次のいずれかを選択。①接待飲食費の50%を超える部分 ②定額控除限度額(800万円×事業年度の月数÷12)を超える部分
1億円超100億円以下 接待飲食費の50%を超える部分
100億円超 支出する交際費等の額の全額

ここで注意が必要なのは、資本金が1億円以下でも800万円の定額控除を使えない場合があることです。国税庁タックスアンサー「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」では、法人税法第66条第5項第2号もしくは第3号に規定する法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人の100パーセント子法人等)などは、「上記以外の法人」の区分で計算するとされています。親会社が大きい会社の子会社は、自社の資本金が小さくても中小法人向けの扱いを受けられません。

また、定額控除限度額の適用を受けるには、確定申告書等にその計算に関する明細書を添付することが要件とされています(措法61の4第7項)。

交際費等の定義と、そこから除かれる3つの費用

交際費等とは、措置法第61条の4第6項により、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」をいいます。

そして同項は、次のいずれかに該当するものを交際費等から除くとしています。

  1. 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用(第1号)
  2. 飲食費であって、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用(第2号)
  3. 前2号に掲げる費用のほか政令で定める費用(第3号)

ここが本題です。上の2番が「1人当たり1万円以下の飲食費」、3番の中に「会議費」が入っています。つまり両者は並列の別ルートであって、会議費が1万円基準の一部なのではありません。

除外ルート①:1人当たり1万円以下の飲食費

措置法施行令第37条の5第1項は、第6項第2号の金額の計算方法について、「飲食費として支出する金額を当該飲食費に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額」とし、基準額を一万円と定めています。

計算式はシンプルです。

飲食費の総額 ÷ 飲食等に参加した人数 ≦ 10,000円

実務上、押さえておくべき点が4つあります。

令和6年4月1日以後の支出から1万円になった

国税庁タックスアンサーNo.5265の注記では、「令和6年3月31日以前に支出された飲食等に係る費用についての基準金額は、5,000円以下になります」とされています。古い資料や記事には5,000円と書かれているものがありますので、いつ支出したものかで基準が変わる点にご注意ください。

社内飲食費は対象外

条文は、この除外の対象となる飲食費から「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するもの」を除いています。社内の人間だけで飲食した費用は、1人当たり1万円以下であってもこの規定では除外されません。社内飲食費が交際費等になるのか、福利厚生費や給与になるのかは、また別の判定になります。

税抜か税込かは自社の経理方式に従う

No.5265の注記では、1万円の判定や交際費等の額の計算は、「法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います」とされています。税抜経理の会社であれば税抜金額で判定するため、税込経理の会社より基準が有利に働きます。

書類の保存が要件になっている

措置法第61条の4第8項は、この除外規定について「財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する」としています。国税庁No.5265では、保存すべき事項として次の5点が示されています。

保存が必要な事項
(1) 飲食等のあった年月日
(2) 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3) 飲食等に参加した者の数
(4) その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
(5) その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

領収書を保管しているだけでは足りません。誰と行ったか、その相手との関係、何人だったかは領収書に書かれていないので、別途記録する必要があります。この記録がないために、1万円以下でも除外が認められないというのは、調査でよくある指摘です。

除外ルート②:会議費

会議費のほうは、措置法施行令第37条の5第2項に置かれています。同項第2号は、交際費等から除かれる費用として次のとおり定めています。

会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用

この条文には金額基準が書かれていません。1人あたりいくらまで、という上限は条文上存在しないということです。その代わり、次の2つの条件が読み取れます。

  • 会議に関連していること……会議という実体があり、その会議に付随して出されたものであること
  • 通常要する費用であること……茶菓、弁当その他これらに類する飲食物として、社会通念上あり得る水準であること

「通常要する」という限定があるため、金額基準がないからといって、会議と称して高額な飲食を行えば会議費になる、というものではありません。条文が例示しているのは「茶菓、弁当その他これらに類する飲食物」です。ここから外れる内容であれば、会議費としての説明は難しくなります。

なお、同項第1号ではカレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用が、第3号では出版物や放送番組の取材等に通常要する費用が、それぞれ交際費等から除かれています。

判定はこの順番で行う

2つの除外規定は別ものですから、当てはめる順番を決めておくと迷いません。

  1. そもそも接待等のための支出か? いいえなら、そもそも交際費等ではありません。
  2. 専ら従業員の慰安のための運動会・演芸会・旅行等か? はいなら第1号で除外されます(福利厚生費)。
  3. 会議に関連する茶菓・弁当等で、通常要する範囲か? はいなら会議費として除外されます。この時点で金額基準は関係ありません。
  4. 会議費に当たらない飲食費なら、1人当たりの金額が1万円以下か? はいで、かつ社内飲食費でなく、5項目の記録があるなら除外されます。
  5. どちらにも当たらないなら交際費等として、資本金区分に応じた損金不算入額を計算します。

この順番でいくと、「会議の弁当が1人1万円を超えたらどうなるのか」という疑問にも答えが出ます。会議費として通常要する範囲であれば、3の段階で除外されるので1万円基準は登場しません。ただし1万円を超える弁当が「通常要する費用」といえるかは別途問われることになります。

隣接する費用との区分

交際費等かどうかは、会議費だけでなく、いくつかの科目との境界でも問題になります。国税庁タックスアンサー「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」では、社内の行事に関して次のようなものが福利厚生費になるとされています。

  • 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
  • 従業員等(従業員等であった者を含む)またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなど)

ポイントは「おおむね一律に」と「一定の基準に従って」です。特定の人にだけ、あるいは基準なく支給しているものは、福利厚生費として説明しにくくなり、交際費等や給与として扱われる可能性が出てきます。慶弔規程のような社内基準を整備しておくことが、区分を守るうえで有効です。

福利厚生費として認められる範囲については、福利厚生費として認められる範囲とは?要件と給与・交際費との違いを解説で詳しく整理しています。

調査で見られやすいところ

  • 参加人数の根拠がない……1万円判定は人数で割るため、人数が多いほど有利になります。だからこそ人数の裏付けが問われます。
  • 相手先の記録がない……「誰と」が書かれていないと、社内飲食費でないことを示せません。
  • 会議の実体がない……議題、参加者、開催場所の記録がないと、会議に関連する費用だという説明が通りません。
  • 一次会と二次会をまとめて1件にしている……実態に即して分けて記録することが基本です。
  • 基準額の年度を取り違えている……令和6年4月1日以後の支出かどうかで、1万円か5,000円かが変わります。

いずれも、経理処理の巧拙というよりその場で記録を残したかどうかで決まります。精算書の様式に「相手先」「関係」「人数」「議題」の欄を作っておくのが、いちばん確実な対策です。

まとめ

  • 交際費等は原則として損金不算入で、資本金の額に応じて800万円の定額控除または接待飲食費の50%損金算入という措置があります(措法61の4)。
  • 「1人当たり1万円以下の飲食費」の除外と「会議費」の除外は、措置法施行令第37条の5の中の別々の規定です。会議費に金額基準は定められていません。
  • 1万円の基準は令和6年4月1日以後の支出に適用され、それ以前の支出は5,000円です。社内飲食費は対象外です。
  • 1万円以下の除外は、年月日・相手先と関係・人数・金額と店名所在地などを記載した書類の保存が適用要件です(措法61の4第8項、国税庁No.5265)。

交際費と会議費の区分は、判定そのものより「記録が残っているか」で結論が変わることが多い分野です。自社の精算ルールで必要な項目が拾えているか、決算前に一度見直しておくと安心です。個別の判断に迷う支出がありましたら、内容をお聞かせいただければ一緒に整理いたします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、2026年7月時点の税制・法令に基づいて作成しています。税制は改正される場合があり、また個別の取り扱いは状況により異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

監修者プロフィール
税理士 奥山博史

奥山 博史(おくやま ひろし)/税理士
東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号
昭和32年生まれ。東洋大学経済学部卒業。平成元年に奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋)を開業。会社設立・法人/個人の税務顧問・相続まで、池袋を拠点に幅広く手がける。

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・登録番号 第66047号) が監修しています。

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