名義預金とは?相続税の税務調査で指摘されないための考え方を税理士が解説

相続・相続税
税理士 奥山博史

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号)が監修しています。
奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋/池袋駅徒歩8分)

相続税の税務調査で、最も指摘されやすいものの一つが名義預金です。「子や孫の名義で貯めてきたお金だから、相続とは関係ない」と思っていた預金が、亡くなった方の財産として扱われ、追加で税金がかかる。そうしたご相談は少なくありません。

名義預金とは?なぜ相続財産に含まれるのか

名義預金とは、口座の名義は家族のものだが、実質的には亡くなった方の財産と判断される預金のことです。

相続税は「名義」ではなく「実質的に誰の財産か」で判断されます。そのため、通帳の名義が配偶者や子どもであっても、お金を出したのが亡くなった方で、管理もその方がしていたのであれば、亡くなった方の相続財産として相続税の対象になります。

名義預金かどうかを分ける4つのポイント

実務では、おおむね次の点から総合的に判断されます。

判断のポイント 見られる内容
お金の出どころ 入金の原資を出したのは誰か。名義人本人に収入がなければ疑われやすい
通帳・印鑑・カードの管理 誰が保管し、誰が出し入れしていたか
贈与の事実があるか あげる・もらうの合意があったか。名義人が贈与を知らなければ贈与は成立していない
名義人が自由に使えるか 名義人の意思で引き出し・使用ができる状態か

とくに多いのが、名義人本人が口座の存在を知らなかったというケースです。贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意があって初めて成立するため、本人が知らない口座は贈与とは認められず、亡くなった方の財産と判断されやすくなります。

税務調査で実際に見られるところ
相続税の調査では、亡くなった方の口座だけでなく、

税務調査で実際に見られるところ

相続税の調査では、亡くなった方の口座だけでなく、家族名義の口座も含めて過去にさかのぼって確認されます。金融機関には取引履歴が残っているため、いつ・いくら動いたかは把握されると考えておいた方がよいでしょう。

そのうえで、たとえば次のような点が確認されます。

  • 亡くなった方の口座から家族名義の口座へ、まとまった資金が移動していないか
  • 家族名義の口座の届出印が、亡くなった方のものと同じではないか
  • 家族名義の口座の住所や届出電話番号が、亡くなった方のものになっていないか
  • 専業主婦(夫)名義の預金額が、収入や過去の贈与から見て説明できるか

いわゆる「へそくり」も、原資が配偶者の収入であれば、名義にかかわらず亡くなった方の財産と判断されることがあります。

名義預金と指摘されたらどうなるか

名義預金と判断されると、その分が相続財産に加算され、相続税を計算し直すことになります。申告済みの内容を修正することになるため、本来の税額に加えて過少申告加算税延滞税がかかる場合があります。意図的に隠していたと判断されれば、さらに重い扱いになることもあります。

金額が大きくなりやすいのは、長年にわたって少しずつ積み立ててきたケースです。一度に動いた金額は小さくても、合計すると数百万円、数千万円になることがあります。

名義預金にしないための備え

生前に贈与としてお金を渡すのであれば、贈与として成立している形を残しておくことが大切です。

  • 贈与契約書を作る…日付・金額・当事者を明記し、双方が署名する
  • 受け取った人が自分で管理する…通帳・印鑑・キャッシュカードは受贈者本人が持つ
  • 振込で記録を残す…現金手渡しより、口座間の振込の方が経緯を示しやすい
  • 必要なら贈与税の申告をする…年間110万円の基礎控除を超える贈与は申告と納税が必要

なお、贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内であっても、上記のような実態が伴っていなければ名義預金と判断され得ます。「毎年110万円ずつだから大丈夫」という理解は正確ではありません。

また、相続開始前の一定期間内に受けた贈与は、相続税の計算上、相続財産に加算されます。この加算期間は令和5年度の税制改正により、従来の3年から段階的に7年へと延長されています(令和6年1月1日以後の贈与について、経過措置を経て順次適用)。生前贈与を進める場合は、この点も踏まえて計画する必要があります。

すでに家族名義の預金がある場合
今ある家族名義の預金が名義預金にあたるかどうかは

すでに家族名義の預金がある場合

今ある家族名義の預金が名義預金にあたるかどうかは、作った経緯によって判断が分かれます。実態として贈与が成立していたと言えるのか、それとも管理をしていたのは亡くなった方だったのか。ここは資料と経緯の確認が必要な部分です。

相続が始まってから慌てて口座を動かすと、かえって説明が難しくなります。動かす前に一度ご相談いただくことをおすすめします。当事務所では、通帳の流れを確認したうえで、申告に含めるべきかどうかを判断し、必要に応じて経緯の説明資料を整えます。

まとめ

  • 名義預金とは、名義は家族でも実質は亡くなった方の財産と判断される預金
  • 判断は「原資・管理・贈与の合意・自由に使えるか」の総合判断
  • 相続税の調査では家族名義の口座もさかのぼって確認される
  • 指摘されると加算税・延滞税がかかる場合がある
  • 生前贈与は、契約書・本人管理・振込記録など「形」を残すことが大切
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、2026年7月時点の税制・法令に基づいて作成しています。税制は改正される場合があり、また個別の取り扱いは状況により異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

監修者プロフィール
税理士 奥山博史

奥山 博史(おくやま ひろし)/税理士
東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号
昭和32年生まれ。東洋大学経済学部卒業。平成元年に奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋)を開業。会社設立・法人/個人の税務顧問・相続まで、池袋を拠点に幅広く手がける。

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・登録番号 第66047号) が監修しています。

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