小規模宅地等の特例とは?330㎡まで80%減額の要件を税理士が解説

相続・相続税
税理士 奥山博史

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号)が監修しています。
奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋/池袋駅徒歩8分)

相続財産のなかに自宅や事業用の土地がある場合、小規模宅地等の特例が使えるかどうかで相続税の額は大きく変わります。適用できれば土地の評価額を最大80%減らせる一方、要件を一つ満たさないだけで使えなくなることもある、判断の難しい特例です。

小規模宅地等の特例とは(最大80%評価減)

小規模宅地等の特例は、被相続人(亡くなった方)等が住んでいた土地や事業に使っていた土地について、一定の面積までの評価額を減額できる制度です。残されたご家族が、自宅や事業を手放さずに済むようにという趣旨の制度です。

宅地の区分 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等(自宅の土地) 330㎡ 80%
特定事業用宅地等(事業用の土地) 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等(賃貸アパート等の土地) 200㎡ 50%

たとえば評価額6,000万円の自宅の土地(200㎡)に特定居住用宅地等として特例が適用できれば、評価額は1,200万円として計算できます。基礎控除と合わせれば、相続税がかからなくなるご家庭も出てきます。

自宅の土地で特例を使える人(誰が相続するかで変わる)

同じ自宅の土地でも、誰が相続するかによって適用の可否が変わります。

配偶者が相続する場合

配偶者が取得する場合は、居住や保有の継続といった追加の要件はありません。相続後にその家に住み続けなくても、申告期限前に売却しても適用できます。

同居していた親族が相続する場合

亡くなった方と同居していた親族が取得する場合は、相続税の申告期限までその家に住み続け、かつその土地を保有し続けていることが要件です。申告期限前に引っ越したり売却したりすると適用できません。

同居していない親族が相続する場合(いわゆる「家なき子」)

亡くなった方に配偶者も同居の相続人もいない場合に限り、別居していた親族でも適用できることがあります。ただし要件が細かく、代表的なものとして、

  • 相続開始前3年以内に、自己または配偶者・三親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する家屋に住んでいないこと
  • 相続開始時に住んでいる家屋を過去に所有していたことがないこと
  • その土地を相続税の申告期限まで保有していること

といった条件があります。「持ち家がないから使える」と単純に判断できるものではなく、実務では最も判断を誤りやすい部分です。

老人ホームに入居していた場合はどうなるか
亡くなる前に老人ホームへ入居していた場

老人ホームに入居していた場合はどうなるか

亡くなる前に老人ホームへ入居していた場合でも、要介護認定等を受けていて、一定の施設に入居していたなど要件を満たせば、それまで住んでいた自宅の土地について特例を適用できることがあります。

ただし、入居後にその自宅を賃貸に出していた場合など、状況によっては適用できない、あるいは区分が変わることがあります。空き家のまま維持していたのか、誰かが住んだのかで結論が変わるため、入居後の使い方を確認しておく必要があります。

二世帯住宅・賃貸併用住宅の注意点

二世帯住宅は、建物の登記の状態によって扱いが変わります。区分所有登記になっている場合は、同居として扱われずに適用範囲が狭くなることがあります。建物を建てたときの登記がどうなっているか、確認しておくことをおすすめします。

また、自宅の一部を賃貸に使っている場合は、居住用部分と貸付事業用部分に分けて計算します。区分ごとに限度面積の調整計算が必要になるため、面積が大きいご自宅ほど検討の余地があります。

特例を使うには「相続税の申告」が必要
見落とされやすい点ですが、小規模宅地等の特

特例を使うには「相続税の申告」が必要

見落とされやすい点ですが、小規模宅地等の特例は、相続税の申告書を提出して初めて適用されます。特例を適用した結果、納める相続税がゼロになる場合であっても、申告そのものは必要です。

「税額がゼロなら申告しなくてよい」と考えて何もしないでいると、特例が適用されないまま本来の評価額で課税される、という事態になりかねません。

また、申告期限までに遺産分割が決まっていない土地は、原則として特例を適用できません。この場合は申告時に所定の届出書を提出しておくことで、後日分割が決まった段階で適用を受けられる場合があります。

判断に迷いやすいポイントまとめ

  • 誰が相続するかで要件が変わる(配偶者は緩やか、同居親族は継続要件あり)
  • 別居の親族は「家なき子」の細かい要件をすべて満たす必要がある
  • 老人ホーム入居中でも適用できる場合があるが、入居後の使い方次第
  • 二世帯住宅は登記の状態で結論が変わることがある
  • 税額がゼロでも申告は必要

土地の評価は、特例の判断だけでなく、形状や接道、利用状況によっても変わります。評価と特例の組み合わせで結果が変わるのが相続税の実務です。ご自宅や貸地をお持ちの方は、早めに一度ご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、2026年7月時点の税制・法令に基づいて作成しています。税制は改正される場合があり、また個別の取り扱いは状況により異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

監修者プロフィール
税理士 奥山博史

奥山 博史(おくやま ひろし)/税理士
東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号
昭和32年生まれ。東洋大学経済学部卒業。平成元年に奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋)を開業。会社設立・法人/個人の税務顧問・相続まで、池袋を拠点に幅広く手がける。

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・登録番号 第66047号) が監修しています。

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