準確定申告とは?期限4か月・必要書類・やり方を税理士がわかりやすく解説

相続・相続税
税理士 奥山博史

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号)が監修しています。
奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋/池袋駅徒歩8分)

ご家族が亡くなったあと、相続の手続きの中で見落とされやすいのが準確定申告です。相続税の申告期限が10か月なのに対し、準確定申告は4か月と短く、気づいたときには期限が近いというご相談も少なくありません。ここでは、誰が・いつまでに・何を出すのかを順に整理します。

準確定申告とは?通常の確定申告との違い

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得について、相続人が代わって行う確定申告のことです。

通常の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年分の所得を、翌年の申告期間(例年2月16日〜3月15日)に本人が申告します。これに対して準確定申告は、1月1日から亡くなった日までの所得を対象とし、相続人が申告します。対象となる期間も、申告する人も、期限も違う、という点が最大の違いです。

準確定申告が必要な人・不要な人

準確定申告が必要になるのは、亡くなった方に確定申告をする義務があった場合です。亡くなったこと自体が申告義務を生むわけではありません。

申告が必要になる主なケース

  • 個人で事業を営んでいた(事業所得があった)
  • アパート・駐車場などの不動産所得があった
  • 給与の年収が2,000万円を超えていた
  • 公的年金等の収入が400万円を超えていた
  • 給与や年金以外の所得が20万円を超えていた
  • 不動産や株式を売却して譲渡所得があった

申告が不要なケース

年金収入のみで一定額以下だった場合や、勤務先の年末調整だけで課税関係が終わっている給与所得者だった場合など、もともと確定申告の義務がなければ準確定申告も不要です。

ただし、義務はなくても「申告した方が得」というケースがあります。医療費が多くかかっていた、生命保険料控除の適用がある、源泉徴収された所得税が納めすぎになっている、といった場合は、申告することで税金が還付されることがあります。この還付を受けるための申告は、しなくても罰則はありませんが、しなければ戻ってきません。

申告・納税の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」

準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。納税もこの期限までに行います。

注意したいのは、相続税の申告期限(10か月以内)とは別だという点です。「相続の手続きは10か月あるから」と考えていると、準確定申告だけ先に期限が来てしまいます。

また、亡くなった方が前年分の確定申告をしないまま年明けに亡くなった場合は、前年分と本年分の2年分を申告することになります。この場合も期限は同じ4か月以内です。

誰が申告するのか(相続人が複数いる場合と付表)
申告するのは相続人(および包括受

誰が申告するのか(相続人が複数いる場合と付表)

申告するのは相続人(および包括受遺者)です。相続人が2人以上いる場合は、原則として相続人全員が連署して1つの申告書を提出します。

このとき使うのが、確定申告書に添付する付表(死亡した方の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表)です。ここに相続人全員の氏名・住所・相続分などを記載し、納める税金や還付される税金を相続分に応じて按分します。

各相続人が別々に申告することもできますが、その場合は他の相続人に申告内容を通知する必要があります。連絡が取りづらいご事情がある場合は、早めに専門家に相談された方が進めやすいでしょう。

なお、還付金を相続人の代表者がまとめて受け取る場合には、他の相続人からの委任状が必要になります。

準確定申告に必要な書類と入手先

書類 入手先・備考
確定申告書 税務署・国税庁サイト。「準確定申告」と表題に付記します
確定申告書付表 相続人が2人以上の場合に添付
年金の源泉徴収票 日本年金機構等。死亡届の提出後に発行されます
給与の源泉徴収票 勤務先
医療費の領収書等(医療費控除を受ける場合) ご自宅で保管されているもの
生命保険料・地震保険料の控除証明書 保険会社
相続人のマイナンバーが確認できる書類 相続人ご本人
委任状(還付金を代表者が受け取る場合) 相続人全員の署名

提出先は、亡くなった方の死亡当時の納税地(住所地)を管轄する税務署です。相続人の住所地ではない点に注意してください。

所得控除の扱い(医療費控除・生命保険料控除・扶養控除)
所得控除は「いつ時点で判

所得控除の扱い(医療費控除・生命保険料控除・扶養控除)

所得控除は「いつ時点で判定するか」がポイントになります。

  • 医療費控除・生命保険料控除・社会保険料控除…亡くなった日までに実際に支払った分が対象です。亡くなった後に相続人が支払ったものは、準確定申告の対象になりません。
  • 配偶者控除・扶養控除…亡くなった日の現況で判定します。
  • 基礎控除…月割りにはならず、通常どおり適用されます。

亡くなった方の医療費はどこまで含められるか

入院費などで、亡くなった後に相続人が支払った医療費は、準確定申告の医療費控除には含められません。ただし、その医療費が亡くなった方と生計を一にしていた親族が支払ったものであれば、その親族自身の確定申告で医療費控除の対象になる場合があります。また、未払いの医療費は相続税の計算上、債務として控除できることがあります。どちらで扱うのが有利かは状況によって変わるため、金額が大きい場合は個別にご相談ください。

期限に間に合わない・申告しなかった場合のリスク

期限までに申告・納税をしなかった場合、本来の税額に加えて無申告加算税延滞税がかかることがあります。延滞税は納付が遅れた日数に応じて増えていきます。

また、還付になるはずだったケースでも、申告しなければ還付は受けられません。「申告義務がないから何もしなくてよい」と判断する前に、源泉徴収票を確認しておくことをおすすめします。

相続放棄を検討している場合は、手続きの順序にも注意が必要です。相続放棄をした人は、その相続については初めから相続人でなかったものとして扱われるため、準確定申告の義務も負いません。判断に迷う場合は、放棄の期限(原則3か月)との関係も含めて早めにご相談ください。

準確定申告を税理士に依頼する場合の進め方と費用の考え方

準確定申告は、亡くなった方の1年に満たない期間の所得をまとめる作業です。事業所得や不動産所得があった場合は、帳簿の締めや減価償却の月数按分など、通常の確定申告とは異なる処理が出てきます。

費用は、所得の種類と資料の整い方によって変わります。年金と給与だけであれば比較的シンプルですが、事業や複数の不動産をお持ちだった場合は作業量が増えます。当事務所では、まず資料を拝見したうえで、そもそも申告が必要か・還付になりそうかを含めてお伝えしています。

相続税の申告が必要になりそうなご家庭では、準確定申告と相続税申告を同じ事務所でまとめて進めた方が、資料の重複や連絡の手間が減ります。

まとめ

  • 準確定申告は、亡くなった方のその年の所得を相続人が申告する手続き
  • 期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内(相続税の10か月とは別)
  • もともと確定申告の義務があった場合に必要。義務がなくても還付になることがある
  • 相続人が2人以上なら、付表を添えて全員で申告するのが原則
  • 医療費控除などは「亡くなった日までに支払った分」が対象

期限が短い手続きですので、判断に迷ったら早めにご相談ください。

相続税・相続手続きのご相談は、池袋の奥山税務会計事務所へ(初回相談無料)
申告が必要かどうかの判断、土地の評価、特例が使えるかの確認、期限が迫っているご相談まで、相続税の実務を承っています。「何から手をつければいいか分からない」「他の税理士に依頼済みだが不安がある」といった段階のご相談でも構いません。初回のご相談は無料です。
▶ お電話:03-5951-0271(平日9:00〜17:00)
お問い合わせ・事務所案内はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、2026年7月時点の税制・法令に基づいて作成しています。税制は改正される場合があり、また個別の取り扱いは状況により異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

監修者プロフィール
税理士 奥山博史

奥山 博史(おくやま ひろし)/税理士
東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号
昭和32年生まれ。東洋大学経済学部卒業。平成元年に奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋)を開業。会社設立・法人/個人の税務顧問・相続まで、池袋を拠点に幅広く手がける。

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・登録番号 第66047号) が監修しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました