会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の違い・税理士に頼むメリット

会社設立
税理士 奥山博史

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号)が監修しています。
奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋/池袋駅徒歩8分)

会社設立を検討する際、まず気になるのが「結局いくら必要なのか」という点ではないでしょうか。本記事では、株式会社と合同会社の設立費用を項目別に詳しく解説します。結論からお伝えすると、株式会社は約20万円、合同会社は約6万円が最低限必要な法定費用です。さらに、電子定款の活用など、専門家に依頼する場合でも費用を賢く抑えるコツを網羅しました。設立形態の選び方や支払いタイミングの注意点も併せて解説するため、コストを最小限に抑え、失敗しない会社設立の全体像を把握できます。

1. 会社設立費用の相場と内訳

会社設立を検討する際、まず気になるのが「どれくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。会社設立にかかる費用は、法人の形態(株式会社か合同会社か)や手続きの方法によって大きく異なります。まずは、それぞれの設立費用における相場と、具体的な内訳を把握しましょう。

1.1 株式会社設立にかかる費用の内訳

株式会社を設立する場合、法務局へ納める登録免許税や公証役場での定款認証費用などが必要です。資本金の額にかかわらず、実費として最低でも約20万円〜24万円程度が必要となります。

項目 金額(目安) 備考
定款認証手数料 約30,000円〜50,000円 公証役場へ支払う
定款の謄本代 約2,000円 枚数により変動
登録免許税 150,000円 資本金の0.7%が15万円を超える場合はその額
定款印紙代 40,000円 紙の定款の場合のみ必要

株式会社設立時には、定款の認証手続きが必須となっており、公証人によるチェックを受ける必要があります。また、紙の定款を作成する場合には収入印紙代がかかりますが、電子定款を利用することでこの費用を節約することが可能です。

1.2 合同会社設立にかかる費用の内訳

合同会社は、株式会社と比較して設立コストを大幅に抑えられる点が大きなメリットです。合同会社には定款認証の義務がないため、公証人へ支払う手数料が不要となります。

項目 金額(目安) 備考
登録免許税 60,000円 資本金の0.7%が6万円を超える場合はその額
定款印紙代 40,000円 紙の定款の場合のみ必要

合同会社の設立費用は、実費のみで計算すると約6万円〜10万円程度です。株式会社と同様に、紙の定款を作成する場合は収入印紙代がかかりますが、電子定款を作成することで印紙代をゼロにできます。コストを最小限に抑えたい起業家にとって、合同会社は非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。なお、会社設立に関する最新の登録免許税や手続きについては、法務省の公式サイトでも確認できます。

2. 株式会社と合同会社の会社設立費用における違い

会社設立において、株式会社と合同会社のどちらを選択するかは、初期費用に大きな影響を与えます。両者には法的に定められた手続きの要件や登録免許税の金額に明確な差があり、これが費用の違いを生む主な要因です。設立後の運営コストや社会的信用度も考慮しつつ、まずは費用の違いを正しく理解することが重要です。

2.1 株式会社と合同会社の費用比較

株式会社と合同会社の設立費用を比較すると、合同会社の方がコストを大幅に抑えることが可能です。株式会社の設立には、公証人による定款認証が必要であり、その際の手数料が発生します。一方、合同会社には定款認証の義務がないため、この分の費用を削減できます。また、会社設立の登記申請時に納める登録免許税についても、合同会社の方が安く設定されています。

費用項目 株式会社 合同会社
登録免許税 15万円(※1) 6万円(※2)
定款認証手数料 約3万円〜5万円 不要
定款印紙代 4万円(電子定款は0円) 4万円(電子定款は0円)
合計目安 約20万円〜25万円程度 約6万円〜10万円程度

(※1)国税庁:登録免許税の税額表によると、株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額の1,000分の7(最低15万円)と定められています。

(※2)合同会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額の1,000分の7(最低6万円)となります。

2.2 どちらの形態を選ぶべきかの判断基準

会社形態を選ぶ際は、設立費用だけで判断するのではなく、ビジネスの目的や将来の展望、社会的信用度を総合的に考慮する必要があります。

2.2.1 株式会社を選ぶべきケース

社会的信用度や知名度を重視する場合は、株式会社を選択するのが一般的です。株式会社は日本において最も広く認知されている会社形態であり、大手企業との取引や銀行融資、優秀な人材の採用において有利に働く傾向があります。また、将来的に株式公開(IPO)を目指す場合や、外部から広く資金調達を行う予定がある場合も、株式会社である必要があります。

2.2.2 合同会社を選ぶべきケース

設立費用を極力抑えてスモールスタートしたい場合や、出資者と経営者が同一であるような小規模なビジネスを展開する場合は、合同会社が適しています。合同会社は定款の自由度が高く、利益配分を定款で自由に決定できるなどのメリットがあります。近年では、意思決定の迅速さを重視するベンチャー企業や、外資系企業の日本法人として合同会社を選択するケースも増加しています。

会社設立の手続きについては、法務省の公式サイトでも案内されており、申請に必要な書類や手順を確認することが可能です。自身の事業計画に照らし合わせ、長期的な視点で最適な形態を選択しましょう。

3. 会社設立費用を安く抑えるコツ

会社設立にかかる費用には、法律で定められた「法定費用」と、書類作成や手続きを代行してもらうための「専門家報酬」の2種類があります。法定費用はどの方法で設立しても変わりませんが、専門家報酬や事務手続きの工夫次第で、設立費用を大幅に抑えることが可能です。ここでは、コストを最小限に抑えるための具体的な手法を解説します。

3.1 電子定款を利用して印紙代を節約する

株式会社や合同会社を設立する際、定款(会社のルールブック)を作成する必要があります。紙の定款を作成する場合、印紙税法により4万円の収入印紙を貼付しなければなりませんが、電子定款を利用することでこの印紙代を0円に節約できます。

電子定款とは、定款をPDFなどの電子データとして作成し、電子署名を施したものです。電子定款を作成するためには、専用のソフトやPDF作成環境、マイナンバーカードを用いた電子署名などの準備が必要となります。ご自身で環境を整えるのが難しい場合は、後述する会社設立支援サービスを利用することで、専門的な知識がなくても電子定款を作成できる環境が整います。詳しくは法務省の公式サイトでも案内されている電子定款の仕組みを確認しておくとよいでしょう。

3.2 専門家を活用する場合の費用を抑える方法

会社設立の手続きを自分で行えば専門家への報酬はかかりませんが、膨大な書類作成や法務局への申請に多くの時間を要します。一方で、司法書士や行政書士などの専門家に依頼すると、正確かつ迅速に手続きが完了しますが、報酬が発生します。以下の表を参考に、ご自身の状況に合わせた最適な方法を選択してください。

依頼先・方法 費用の目安 メリット デメリット
自分で手続き(紙) 約20万円〜(法定費用のみ) 専門家報酬が不要 印紙代4万円がかかる・手間がかかる
自分で手続き(電子) 約16万円〜(法定費用のみ) 印紙代が節約できる 電子署名環境の準備が必要
会社設立支援サービス 約16万円〜(+利用料) 安価かつ簡単に電子定款作成が可能 サービスによりサポート範囲が異なる
専門家へ依頼 約20万円〜30万円以上 すべて任せられるため確実 高額な報酬が発生する

3.2.1 会社設立支援サービスを活用する

最近では、クラウド型の会社設立支援サービスを使い、質問に答えるだけで必要書類を自動作成する方法も広がっています。ただし、こうしたサービスがカバーするのは主に「設立時の書類作成」までで、設立後の記帳・決算・税務申告までは面倒を見てくれません。会社は設立してからが本番です。設立の段階から税理士に相談しておけば、電子定款による印紙代の節約はもちろん、資本金の決め方・役員報酬の設定・消費税の課税事業者判定など、設立後に効いてくる論点までまとめてアドバイスを受けられます。奥山税務会計事務所でも、会社設立のご相談から設立後の税務顧問までを一貫してサポートしています。

3.2.2 専門家への依頼費用を比較検討する

司法書士などの専門家に依頼する場合でも、コストを抑える余地はあります。多くの税理士事務所では、顧問契約を結ぶことを条件に、会社設立時の手数料を0円にする「会社設立手数料0円キャンペーン」を実施しています。設立後の税務顧問や決算申告までをセットで依頼することを前提にすれば、設立時の初期費用を大幅に圧縮できるため、長期的な視点でコストを比較検討することが重要です。

4. 会社設立費用の支払いタイミングと注意点

会社設立の手続きを進めるにあたり、費用が発生するタイミングは一度ではありません。手続きの各段階で支払う必要があるため、あらかじめ資金計画を立てておくことが重要です。ここでは、主な費用が発生するタイミングと、手続きを進める上で押さえておくべき注意点を解説します。

4.1 費用が発生するタイミング一覧

会社設立のプロセスにおいて、主な費用が発生するタイミングをまとめました。特に登録免許税や定款認証手数料は、手続きの進行を左右する重要な支払いとなります。

項目 支払いタイミング 支払い先
定款認証手数料 定款認証時 公証役場
定款印紙代(紙のみ) 定款作成時 税務署(収入印紙)
登録免許税 登記申請時 法務局
専門家報酬 契約内容による 司法書士・行政書士等

4.2 会社設立費用に関する注意点

会社設立の手続きをスムーズに進めるためには、金銭面でのトラブルを避けるための注意が必要です。特に資本金の取り扱いについては、法務局の審査で厳格にチェックされるポイントであるため、細心の注意を払ってください。

4.2.1 資本金の払い込みは登記申請前に行う

資本金は、会社設立登記の申請前に発起人の個人口座へ振り込む必要があります。会社名義の口座はまだ存在しないため、必ず発起人代表者の個人口座へ入金してください。この際、通帳のコピーが登記申請の証憑書類となるため、日付や金額が明確に記録されるようにしましょう。

4.2.2 専門家報酬の支払い時期を確認する

司法書士や行政書士などの専門家に依頼する場合、報酬の支払いタイミングは事務所によって異なります。一般的には「着手金」と「完了後の報酬」に分かれていることが多いですが、全額前払いが必要なケースや、設立完了後の後払いができるケースなど様々です。契約前に必ず見積書を確認し、いつまでにいくら必要なのかを明確にしておきましょう。

4.2.3 資金計画には余裕を持つ

会社設立には、法定費用や専門家報酬以外にも、会社の実印作成費用やオフィス備品の購入費用など、想定外の出費が発生することがあります。ギリギリの資金で設立を行うと、事業開始後の運転資金が不足するリスクがあります。設立費用だけでなく、当面の運転資金も含めた余裕のある資金計画を立てることが、安定した会社経営の第一歩となります。

なお、会社設立の手続きや費用に関する最新の情報については、公的機関の公式サイトなどを参照し、正確な情報を確認することをお勧めします。詳細は法務省のウェブサイトをご確認ください。

5. まとめ

会社設立には株式会社で約20万円、合同会社で約6万円の実費が必要です。株式会社は社会的信用度が高く、合同会社は設立コストと維持費を抑えられる点が特徴です。ご自身の事業計画や将来的な資金調達の必要性を考慮し、最適な形態を選択しましょう。

また、電子定款を活用すれば4万円の印紙代を節約できます。ただし、目先の設立費用を抑えることだけにとらわれず、設立後の税務・会計まで見据えて準備することが大切です。会社設立から税務顧問までを税理士に相談すれば、顧問契約を前提に設立時の手数料を抑えられるケースもあり、長期的にはコストと手間の両方を軽減できます。まずは費用の内訳を正しく理解し、無理のない形で事業をスタートさせましょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、2026年7月時点の税制・法令に基づいて作成しています。税制は改正される場合があり、また個別の取り扱いは状況により異なります。実際の判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

監修者プロフィール
税理士 奥山博史

奥山 博史(おくやま ひろし)/税理士
東京税理士会 豊島支部・税理士登録番号 第66047号
昭和32年生まれ。東洋大学経済学部卒業。平成元年に奥山税務会計事務所(東京都豊島区南池袋)を開業。会社設立・法人/個人の税務顧問・相続まで、池袋を拠点に幅広く手がける。

この記事は 税理士 奥山博史(東京税理士会 豊島支部・登録番号 第66047号) が監修しています。

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